スマホを勝手に見た場合、不倫の証拠となるか
1 不倫の証拠にはなり得るが見る行為が違法になる可能性もある
配偶者のスマートフォンの中身を勝手に見て収集した情報は、不倫慰謝料の請求をするための証拠にはなり得ます。
正確には、収集した情報の中に、不貞行為の裏付けとなるものがあれば、証拠になります。
一方、配偶者のスマートフォンを許可なくみる行為はプライバシー権の侵害となる可能性があり、逆に損害賠償請求の対象となることがあります。
また、パスワードが設定されている場合、これを解除する行為は犯罪になることもあります。
ただし、証拠収集の方法が違法であるかどうかと、その証拠が不倫慰謝料を請求に使えるかどうかは、法律上は別の問題です。
民事事件である不倫慰謝料請求においては、基本的には違法に収集した証拠でも使うことができます。
力づくでスマートフォンの中身を見させたり、別居中の配偶者の自宅に入ってスマートフォンを見るといった、収集方法の違法性の程度が強い場合、証拠として使うことができなくなる可能性があります。
以下、不貞行為の裏付けとなる情報と、違法に収集した証拠の扱いについて説明します。
2 不貞行為の裏付けとなる情報
不倫慰謝料が発生するための要件のひとつに、不貞行為の存在が挙げられます。
不貞行為とは、端的に言えば、配偶者と不倫相手との間において性的関係があることです。
配偶者のスマートフォンの中に、不倫相手との性行為またはそれに類する行為を裏付ける情報があれば、不倫慰謝料を請求するための証拠となります。
また、性行為等を直接裏付ける証拠がなくても、デートの約束をするメッセージなど、不貞行為の存在を調査するための手掛かりとなる情報があれば、その情報を元にさらなる調査を行われます。
3 違法に収集した証拠の扱いについて
不倫慰謝料の請求をすることと、スマートフォンの中身を勝手に見たことに対する損害賠償請求がなされることは、法的には別々の問題です。
違法に収集した証拠がある場合、不倫をされた配偶者から不倫慰謝料の請求ができると同時に、不倫をした配偶者も損害賠償請求ができるということもあります。
このような場合には、事実上の相殺として、不倫慰謝料の減額をするということもあります。